Milestone(マイルストーン)

高田馬場は新宿と並んで、僕の人生にとって欠かすことのできない、因縁の深い街だ。
小さい頃からずっと早稲田に住んでいたから、高田馬場は庭みたいなものだったし、普通に通学路だったし、最も近い繁華街だった。
高田馬場と早稲田は東西線で一駅だが、その間を何度自転車や徒歩で往復したことだろう・・・。


そんな管理人の高田馬場話は置いておき(後日書こ♪)、そんな僕に馴染みある街にひっそりと構えるシブイJazzCafe&Barがある。

先週の金曜日(10/24)に久しぶりに足を運んだので、その時に店内の写真も撮らせていただき、実は前から早く紹介したいと思っていたMilestoneをようやくこうして紹介できるようになって、とても嬉しい。


Milestone
難易度★★★☆
明るさ★★☆
安さ★★★
美味しさ★★★☆
(※「難易度」とは、そのお店が初めてな人にとっての「入り難さ」や、場所の「わかりにくさ」を表します)

住所:東京都新宿区高田馬場1-23-9 イガリビル1F
TEL:03-3200-4513
HP:http://jazz-milestone.net/
営業時間:
 【平日】昼12:00 〜 深夜0:00
 【金.土曜.祭日前夜】昼13:00 〜 深夜1:00
 ・コーヒータイム 昼12:00--夕方19:00
 ・バータイム 夕方19:00--深夜0:00


場所は少々分かりづらいところに位置しており、見つかるとすごく分かりやすいし入りやすいのだが、その路地に辿り着くまで、高田馬場初心者では少々難しいかもしれない・・・最初に行く時は地図をご確認のこと。

外観

ぃぃですねぇ〜♪

この看板も昭和の匂いがしてすごくいい!


Milestoneは僕が大好きな大好きなJazzCafe&Barで、その最大の特徴はなんと言っても「古本・レコード屋でもある!」ということだろう。
もちろん、珈琲はめちゃ美味いし、スピーカー(後述)もスゴイのだが、やっぱり他にないものがMilestoneにはある。
壁一面に並ぶ古本の中から一冊を手に取り、珈琲を飲みながら、タバコをふかしつつ、ゆっくり読んでみる。気に入った本があったらその場で購入できる。
また、レアなレコードを含むレコードの数々も置いてあり、見るだけでも楽しいが、買うこともできる。(先日は「ジャケ買い」で2枚購入♪)
こんな僕にピッタリなJazzCafe/JazzBarはたぶん他にないと思う。


店内はどちらかというとBarという感じで、夜は薄暗いランプが灯る店内に、適切な音量で高音質なモダン・ジャズが広がる世界である。

店内の様子(1):向こうにJBLの高級スピーカーが鎮座

店内の様子(2):マスターが「Swing Journal」を読んでいる


Milestoneではライブはやらない。そういえば理由は聞いたことがないから、今度聞いてみたい。やはりマスターがジャズを聴きながら、本をゆっくり読むのが好きなんだろうか。
でもライブがないということで、Milestoneは色褪せない。

Milestoneの中心に鎮座するスピーカーは、JBLの古い高価なものだそうで、高音域用スピーカーは筐体から取り外しが可能のため、上に剥き出しのまま設置されている。いわゆる『蜂の巣』と言われるやつだ。
その質感や音質を一度楽しむためだけでも、Milestoneに来る価値が十分あると思う。
まず、他の店ではお目にかかれない貴重な品である。

『蜂の巣』スピーカー


HPで、テレビ番組でスピーカーについて解説しているマスターの動画を発見!
http://jazz-milestone.net/top/MI_0003.WMV


ところで、早稲田〜高田馬場はかつて国内有数の『古本街』として名高いところだった(である?)。
Milestoneが古本屋を兼ねているのも、偶然ではないのだろう。
前述の通り、早稲田〜高田馬場間はクツがいくつも潰れるほど歩きまくった僕の思い出の道で、高校時代は目をつぶっていても古本屋を回って歩けるほど、毎日のように通っていた。表通りから一本はずれて、隠れた古本屋を見つけたときなどは妙に嬉しくなったりしたものだ。
一回早稲田通り沿いにある古本屋の数を数えたら、40軒以上あった・・・。しかし、今はその古本屋はだいぶ少なくなってしまった。時代の流れとは言え、なんだか寂しいものだ。
だからMilestoneはこれからもずっと健在でいてほしいと、切に願うのである。


さて、マスターの日記が面白い。ブログではないが、ブログのような調子で結構頻繁にアップデートされている。
最新の日記(10/26)で、僕が読んで良かった、と思った記事があるので、ここに全文コピーして掲載しておこう。マスターが最近雑誌に掲載したエッセイからである。

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「ジャズ喫茶とアメリカ」

高田馬場の裏通りで、マイルストーンというジャズ喫茶を始めて32年がたちました。
いつか店を持つことが出来たらと、何となく思っていたことがひょんな事から実現して、いつのまにか東京のジャズ喫茶として古株の仲間入りをしてしまいました。
ジャズ喫茶と言っても、特別なジャズ・ファンでも無い限り今ではあまり縁の無い存在かもしれません。
私が店を始めた32年前には、東京だけで100軒近くのジャズ喫茶があったでしょうか。
大学の周辺には、麻雀荘とジャズ喫茶は付きものでした。それが、30年の間、古書店や映画館の減少と歩調を合わせるように減り続けて今や数える程になってしまいました。
昭和22年生まれの団塊世代としては、大学とジャズ喫茶は切っても切れない関係で、授業を受ける時間よりもジャズ喫茶に居る時間の方が多かったような気がするくらいです。
当時は、どこのジャズ喫茶へ行っても学生達であふれ、ジャズを聴く事に集中していました。
レコードの音量が大き過ぎてとても会話など出来る余裕がありません。暗い店内の壁には「私語禁止」の貼紙が客を威圧していました。
いつ行っても客が入っているし、店主は好きなジャズを一日中聴いてイバッているように見える。
これで食っていけるるなんて、ジャズ喫茶ほど素敵な商売はないと思いこんだものでした。
60年代から70年代にかけて青春を送った我々の世代にとって世界に開かれた情報は、まだまだ限られていました。
その中で映画とジャズ喫茶はアメリカを感じる近道のような気がしていたのです
日本の戦後経済成長と共にに大人になった団塊世代は、アメリカ文化の洗礼を丸ごと受け入れた新しい世代になりました。
それより少し前、1950年代ジャズ喫茶が日本中に広まった戦後ジャズ・ブームの始まりは、少し様子が違います。
敗戦を迎えアメリカ文化圧倒的優位のもと、期を見るに敏な都市の知識人層の間に急速な勢いで文化的価値転換が起きようとしていました。
知識人層のあいだに起きた、フランス文化からアメリカ文化への乗り換えです。
急激なジャズ・ブームはアメリカ文化へ便乗しようとする知識人層の踏み絵の役割を果たしたのかもしれません。
そこには、敗戦のトラウマとアメリカ文化に対するあこがれという複雑な感情がまざりあっていました。
1950年代に始まるジャズ喫茶の隆盛と1980年代における急速な縮小は、アメリカ文化流入の始まりとそのその完成と見る事が出来るかもしれません。
ジャズを普通の音楽として誰もが受け入れたと感じた頃、日本人にとってアメリカ文化はいつでも手に入る当たり前のものになっていました。
アメリカの窓口として日本人が育てたジャズ喫茶というシステムも、時の経過と情報の拡大によって等身大のアメリカが姿を現すと共にその役割を終え方向転換を迫られる事になりました。

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(マスター、気軽にコピペして誠に申し訳ございません・・・たくさんの人に読んでもらいたかったので・・・)

また、同じくHPに掲載されている『高田馬場ジャズ喫茶物語』も読み切りだから読みやすいし、面白いのでオススメである。


こんな素敵なMilestoneに僕はこれからもちょくちょく顔を出すのだろう。
そして、Milestoneはいつものように僕を優しく受け入れ、僕の心を満たしてくれるに違いない。



最近、『着物』にはまっているというマスター
僕も着物を買おうかな♪