JazzCafe/JazzBarのススメ 〜その1〜 『JazzCafe/JazzBarとは何か』

このブログの使い方』でも書いたが、僕はジャズバーやジャズ喫茶の良さをもっと多くの人に知ってもらいたいという思いがある。
ここでは一先ず、ジャズバーとかジャズ喫茶とか言われているものがどういうところでどういうものなのか、簡単に解説してみよう。


【JazzCafe/JazzBarとは何だろう?】

ひと昔前までは(と言っても70年代くらいまでの話だが)、ジャズ喫茶が栄えていた背景に、「レコードが高くてなかなか手に入らない」という事情があった。だから特に若い世代の人(いわゆる団塊の世代の人たち=管理人の親父の世代)が、最新のジャズを「聴きに」ジャズ喫茶へ入店し、珈琲一杯だけで粘るというようなことがよくあったそうだ。
次第に日本が豊かになるにつれて、音楽(レコード、カセット、CD)は安価なものとなり、高音質のスピーカーを家に導入することも、庶民の手の届く話となった。
それに従って当然客足も少なくなり、2〜30年前からジャズバー、ジャズ喫茶は苦しい経営を強いられ、多くは閉店していってしまった。
それでもやっぱりジャズが好きで、お店が赤字でも意地で経営を続けているオーナーは今も多い。しかし、やはりそれぞれの台所事情はかなり苦しいものがあるというのは想像に難くない。
時代の流れだから、仕方のないことなのだが、僕は素敵なJazzCafe&JazzBarの世界が日々少なくなっているということが、身を切られるようにとてもつらい。
僕はまだ20代半ばの人間だが、親しい友人とJazzCafe/JazzBarの話をすると、ほぼ必ずと言っていいほど、「ちょっと興味がある」とか「一度行ってみたい」とかいう声が聞こえる。でも、実際に行ったことがある人はほとんどいない。そして、いつも「今度どこか連れて行ってよ!」と依頼されるのだ。僕もJazzCafe/JazzBarを巡るのは大好きなので、もちろん返事は「OK!」なのだが、もう少したくさん「知っている」人が増えてもいいような気がする。。
そして「知っている」人が増えれば、僕みたいに「はまってる」人がもっと出てくるはずだ。
人生のひと時を、とても豊かな時間に変えてしまう魔法を持っているJazzCafe/JazzBarが、さらに少なくなってしまう前に、なんとか再興させたいと願う。

しかし、一方で、JazzCafe/JazzBarのマスターやオーナーからすれば、「あんまり門外漢の客が増えても困る」という意見も聞こえてきそうである。JazzCafe/JazzBarという空間は、ある種神聖なものであり、それ故に人目に付かないところにひっそりと門を構え、扉は重々しく、店内は薄暗くて近寄り難い雰囲気を醸し出す。何か暗黙のルールに支配されているような、初心者には「心落ち着かない」ものがある。
お客さんはたくさん入ってほしいのだけど、でもどんな奴が来てもいいというわけではない。ここに、JazzCafe/JazzBarの経営の難しさがあるのではないだろうか。そして、多くの場合、マスターは「無害な」お客さんたちがほんの少々来店するだけで、たとえお店が赤字でも心は満足しているのかもしれない。

JazzCafe/JazzBarは、当然のことながらただのCafeやBarではない。でもその違いは微妙である。では・・・

【JazzCafe/JazzBarは他のお店と何が違うのだろうか?】

一般的な喫茶店でもBGMにジャズを流している店は多い。BarはJazzBarでなくても薄暗いものである。
JazzCafe/JazzBarに特有なものは、一言で言えば「雰囲気」だ。JazzCafe/JazzBarにしかない「空気」みたいなものがある。それは言葉で説明することは難しいが、一度でも足を踏み入れたことがある人なら分かるはずだ。
では、その「空気」は一体どこから生まれてくるのだろうか?

お客さんからすれば、ただのBarだと思って入ったところがJazzBarだったとしても、何の問題もない。
しかし、そこには目に見えない、決定的な違いがある。
JazzCafe/JazzBarにしかないもの・・・
それは、オーナーがずーっと前から趣味で収集しているこだわりのレコードやCD。しかも100枚や200枚ではなく、1000枚、2000枚の単位で所有しておられる。(先日お邪魔した都立大前の「Jammin'」という店のマスターは、3000枚のレコードがあると言っていた。)
また、こだわりのスピーカー。当然、高音質のジャズを楽しみたい!という強い思いがオーナーにはある。お金に余裕があるわけではないのに、高額の超高性能スピーカー(しかもかっこいい!)が、ほとんどのJazzCafe/JazzBarの中心に鎮座している。
そして、JazzCafe/JazzBarに特有のインテリア。レンガ造りの壁に、木製のイスとテーブル。「隠れ家」を思わせる薄暗いランプ。そして楽器。
他にも様々な要素があるが、その根っこにあるものは、要するに「ジャズへの情熱」だ。
この「情熱」こそが、普通のCafe/BarとJazzCafe/JazzBarの違いを決定付けるものである。

僕はまだ20代の若造だけれども、将来はジャズバーを経営したいという夢を持っている。お金も貯めなきゃいけないし、お店のプランも練らなきゃいけない。一人で経営していくのは、たぶんとても大変なことだ。
でも、死ぬまでにやっておきたいと思うことがあったら、「赤字」なんていう些細なリスクで断念するのは、もったいない。ある程度、年老いたら、もう引き返すことはできない。人生は一度である。
「JAZZの中で生きて、JAZZの中で死ぬ」
そういう生き様を体現されているJazzCafe/JazzBarのオーナーたちを尊敬するし、憧れている。