僕とJAZZ

僕が最初にジャズを知ったのは、新宿東口のロータリーでのことだ。
たくさんの人だかりの真ん中で、様々な楽器を縦横無尽にかき鳴らす5人組のバンドがいた。その頃はジャズという言葉も知らず、ただ何らかの『衝撃』としてその音楽を受け入れたことを覚えている。
後にわかったのだが、その路上ライブをやっていたのは、あのPe’zだった。世間的に有名になる前で、彼らがもっとも情熱を注いだ路上ライブがまだギリギリ日本でも可能だった頃である。
折しもその日僕は大学新入生同士の飲み会の帰りで、好きな女の子にそっけない態度をとられて深い失恋の闇にいた。それが逆に良かったのかも知れない。
ライブで野外に響くその音楽は、僕の胸にストレートに響いた。その時はアタマの中にはただ「すごい!すごい!すごい!すごい!」しかなかった。
翌日、僕はその音楽の正体を突き止めるべく、渋谷のCDショップに駆け込んだ。そうやって始まったのが、僕とジャズとの関わりだ。
(注:Pe'zの音楽を厳密に言ってジャズかどうかという話もあって、僕個人としてはジャズというよりジャズテイストなPe’zのオリジナルミュージックと言うべきだと思っている。しかしジャズという言葉も知らなかった僕にとって、それは新しい扉を開くマジックとして十分過ぎるものだった。)

それからしばらくして僕は、ジャズを『趣味』とすることに決めた。なんとなく、そうすることがかっこいいことだと思ったし、何よりそれまで聞いてきた音楽のどれと比べても「しっくり」とした。
学生時代はお金がなかったし、他にもやりたいことがたくさんあったので、とにかくお金のかからない方法でジャズを聞きまくった。
今ではTSUTAYAに行くと割と質の高いジャズCDが貸し出されているが、僕の大学時代にはまだアンダーグラウンドな領域で、ジャズCDがおいてあるTSUTAYAは渋谷と新宿くらいしかなかった。幸いそのどちらにも家が近かったので、バイトで稼いだお金で毎週毎週CDを借りまくった。

だんだんTSUTAYAにあるものだけでは飽き足らなくなって、高田馬場にあるジャズ専門店に通っては定価で売られているCD・DVDを見て、よだれをたらしていた。
そしてレコファンという中古CDショップに場所を移して、『掘り出し物』を見つけるのが楽しみであった。タワーレコードにも暇さえあれば行き、2時間でも3時間でも最新のジャズを聞いた。

ジョン・コルトレーンマイルス・デイビスに始まり、セロニアス・モンク、ディジー・ギャレスビー、ハービー・ハンコックウェイン・ショーターパット・メセニー、ウェス・モンゴメリミシェル・ペトルチアーニロン・カータージャック・ディジョネットジョージ・ベンソンジャコ・パストリアス、、、日本人では、渡辺貞夫、大野雄二、寺井尚子菊地成孔秋吉敏子MALTAなどなど(全然書き切れない・・・)、あまり食わず嫌いをせずに幅広く聞きまくった。

ジャズは僕の心の隙間を埋めてくれる。
ジャズはただの休日を素敵な休日に変えてくれる。
ジャズは僕の人生にとってなくてはならないものである。

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Pe'zが日本で路上ライブできなくなったので、韓国の各地でゲリラライブを展開する模様を追ったDVD。超スーパーおススメ!!